キルギスのフェルトとシルダック キルギスのフェルトは羊の毛から作られます。フェルト作成は難しく、時間がかかる作業です。このフェルトから作られるシルダックという絨毯は、冬の時は暖かく、夏の時は涼しく使うことができます。また、シルダックは丈夫で、何年間も使えます。シルダックを作るには夏から始まって丸一年かかります。まず、羊の毛を刈り、洗って乾かして、色々な色で羊の毛を染めます。その後に、お湯、石鹸と葦のマットを使って、毛を圧縮して、Kiyizを作ります。 1つのKiyizが1つの色で、いくつものKiyizを利用して、シルダックを作ります。昔は、シルダックを作る時、一番よく使われる色が白、黒、赤、緑、黄色、茶色でした。シルダックの作成方法は昔から変わりませんが、最近はいろいろな色と新しい模様が利用される場合があります。 2013/07/31 |
キルギスの首都 キルギスの首都はビシュケク(Bishkek)です。キルギスの北部・海抜700~900メートルのところにあり、人口は100万を超えています。 市内には、Chui AvenueとSovetskaya Streetという大きな2つの通りがあります。Chui Avenueにはホワイトハウス、Ala-Too広場、キルギス国立歴史博物館、フィルハーモニー、いくつかの大学、Oshバザールが面しています。Sovetskaya Streetには、キルギス国立美術館、国立オペラ・バレエ劇場、国立図書館が面しています。 ビシュケクの見どころは以下のようなものがあります。 ・日本と比べて、ビシュケクにはタクシー代が安いため、タクシーを使う人が多いです。 ・いろいろな国のレストランやカフェが数多くあります。 ・ビシュケクのどこからでもAla-Too山脈の山がきれいに見えます。 ・Ala-Too広場に行くと、多くのビシュケク住民と観光客が散歩しています。 ・ビシュケクのバザールにいくと、スーパーよりも物価が安いです。 ・ビシュケクの郊外にはいくつかの自然公園、スキー場があります。 ・ビシュケクの通りには、緑の木々が多いです。 2013/08/29 |
カルパック カルパックとはキルギス人の伝統的な男性用のフェルトの帽子です。昔の人にとっては、寒さからも暑さからも頭をまもってくれるカルパックは便利な帽子でした。カルパックは普通は白い色のフェルトで作られますので、アク・カルパックとよく言われます。「アク」という言葉は「白い」という意味です。「神聖」、「誠実」という意味も持っています。 昔から、カルパックについては色々な決まり事があります。例えば、自分のカルパックを誰かにプレゼントしたり、投げ捨てたり、床の上に置くのはだめです。昔の人は、自分のカルパックを失くすと、頭も失くすと信じていました。また、カルパックは、客好きのシンボルであり、お客や観光客にプレゼントされます。 カルパックの形はキルギスのAla-Too山脈をもとに作られており、カルパックの中の空間は 思想の自由を表しています。 2013/09/28 |
ユルタ ユルタは伝統的なキルギスの住居です。丸い形をしており、全体の直径は4~9メートルです。ユルタは釘なしで建てることができ、上手な人はユルタの枠組みを一ヶ月ぐらいで作ることができます。その上から、毛のカーペット(シルダック)を3~4時間ぐらいかけて巻きつけます。 キルギスでは、ユルタは6世紀から遊牧民に使われています。現在、ユルタに住むことはほとんどありませんが、一部山岳部での生活や、特別なイベントの時に親戚が集まる場として使われています。例えば、結婚式、子供の誕生日などです。 ユルタは軽くて、運ぶのに便利なので、キルギスの遊牧民がよく使います。 ユルタの中は快適で、夏は涼しくて、冬は暖かいです。 ユルタに一度入れば、暖かい歓迎と、伝統的なキルギスの文化を感じることができるでしょう。 2013/10/28 |
コムズ コムズはキルギスの伝統的な弦楽器です。コムズの全長は90センチメートルです。言い伝えによるとコムズはカムバルカンという狩人によって発明されました。 ある日彼はある音を聞き、その音をとても好きになりました。あとで彼がその音をいつでも思い出せるようにこのコムズを作りました。 コムズはビャクシンとアプリコットの木から作ります。コムズの音は柔らかくて、静かです。 20世紀までは弦に羊の腸を使っていましたが、その後、プラスチックの釣り糸を使用するようになりました。 コムズを立って弾くのは少し難しいので、多くの場合は座って弾きます。コムズのユニークな特徴の一つは幅広い弦の設定ができることです。 2013/11/28 |
イシククル湖 イシククル湖は、キルギスの北東にある、とても大きく、大変綺麗な湖です。イシククル湖は、面積では世界で第25位。深さは、最大深度702メートル、平均278メートルで、世界で第7位です。 イシククル湖はキルギス語で“暖かい湖”という意味です。冬でも湖面は凍りません。また湖水には若干の塩分が含まれています。 イシククル湖は、カザフスタンやロシアなどのCIS諸国からの観光客を含む多くの外国人観光客に人気があります。湖の岸にはリゾートが存在し、一年を通して自身の健康の改善やリラクゼーションを求めて多くの人々が訪れます。 この地域には珍しい温暖な海洋性気候、清々しい空気、綺麗な湖水によって、イシククル湖は中央アジアの真珠と呼ばれています。 2013/12/30 |
ベシュバルマク ベシュバルマクは、キルギスの伝統料理の中で最も重要な料理で、結婚式など親戚が集まる席の時に必ず出されます。ベシュバルマクは羊や牛・馬の煮物と手作りの麺から作られます。料理に出される肉の部位は、食べる人の年齢や地位などの立場によって異なります。このことをキルギス語でUstukanと言います。 ベシュバルマクの麺の形は、キルギスの地方によって違います。四角、ひし形、タリアテッレなどの形がありますが、好きな形に作るときもあります。 ベシュバルマクはキルギス語で“5本の指”と言う意味です。昔のキルギス人はこの料理をスプーンを使わずで、手で食べていました。今でも、ベシュバルマクをスプーンより、5本の指で食べたほうが美味しいと言う人もいます。 キルギスの学者によると昔ベシュバルマクは“ナアルン”と呼ばれていました。ベシュバルマクという単語は1930年頃にロシア人とウクライナ人がキルギスに入植してきた時に使われるようになったそうです。ロシア人とウクライナ人の入植者はキルギス人がこの料理を手で食べているのを見て、「ベシュバルマク」という呼び方になったそうです。今でもベシュバルマクを「ナアルン」というキルギス人がいます。 キルギスに行くときには、是非ベシュバルマクを食べてみてください。 2014/1/31 |
クムス クムス(馬乳酒)は、キルギス人、カザフ人、ウズベク人、タジク人の伝統的な飲み物です。 遊牧民時代のキルギス人は、肉体労働時の渇きや疲れを癒すためクムスを飲んでいました。普通の生活の中でも朝食・昼食・夕食と毎食飲まれていました。クムスを飲める時期は、春から秋までです。 羊や牛の皮から作られた皮袋の中に馬乳を入れて、ビシュケクという木のスプーンで長時間かけて泡立てます。泡立てた後は、数日間皮袋の中に入れたままにして発酵させます。※写真は大きな牛の皮袋です。 キルギスの首都ビシュケクと、ビシュケクというこの木のスプーンは、同じ発音の単語です。伝説ではビシュケクの町を創始した英雄がいて、その英雄の名前がビシュケク("クムスのためのスプーン"という意味)だったそうです。 クムスには多くの薬効があると言われており、色々な病気の時に補助的な治療方法として使われます。代謝系、神経系、消化器系、循環系に良い影響を与えて、殺菌特性を持っていると言われています。キルギスには春から秋までの間、新鮮なクムスを飲んで治療を受けられる小さなキャンプのような所があり、人気があります。美味しい上に効果がある治療方法です。 昔は来客があると、まずお客さんにクムスをあげていました。今も山の田舎に行くと、その習慣が生きています。 2014/2/27 |
マナス マナスはキルギスで一番有名な叙事詩です。50万行以上あり、世界で一番長い叙事詩といわれています。この叙事詩には、英雄マナス、息子のセメテイ、孫のセイテクの話を中心に、キルギスの政治・歴史・社会についての多量の情報が含まれています。 キルギス王のノゴイが契丹によって殺されてから、キルギス人の部族たちがアルタイに移動します。そこでジャキプ王のマナスが生まれます。マナスは有名な英雄になって、キルギス人と周辺の部族を統一して、新しい王になります。 その時から、マナスは多くの戦いに参加し、キルギス民族を守っていきます。マナスは強く、寛大で、平等で、正直な人だったと記述されています。キルギス民族の繁栄のための闘争に生涯を捧げました。 マナスの死後の話では、息子のセメテイと孫のセイテクがマナスの使命を引き継ぎ、キルギスの主な外敵の契丹や中国との紛争を解決し、キルギス民族の平和な生活を守っていきました。 マナスの語り手はマナスチと呼ばれて、19~20世紀にサグムバイ・オロズバコフ、サヤクバイ・カララエフ、モルドバサン・ムスルマヌクロフのような有名なマナスチがいました。 現在のキルギス人はマナス叙事詩を大事に守って、次の子孫に渡していくことを大事な目標としています。 2014/3/28 |
アラ・アルチャ自然公園 ビシュケク近郊のいくつかの自然公園の中で、一番人気のあるのが「アラ・アルチャ自然公園」です。ビシュケクから41キロメートルのところにあるこの公園は、大きな山に囲まれており、面積は2万ヘクタール、公園内にはアラ・アルチャ川が流れています。約1100種類の植物があるといわれており、動物についてはキツネ、オオカミ、ウサギ、アナグマ、ヤマアラシ、ユキヒョウ、ワシ等が生息しています。ビシュケクの住民たちは週末によくアラ・アルチャに行き、きれいな自然を見ながら、ピクニック、散歩、ハイキング、サイクリングなどをします。公園内のアク・サイ滝は有名な観光スポットです。 公園内の夏の平均温度は12℃、最高でも27℃~30℃です。 公園内の高度2100メートルのところには登山者用の登山ベースがあります。 公園はキルギスアラ・トー山脈(天山山脈)に接しており、登山ベースからセミョーノフ天山ピーク(4875メートル)、Koronaピーク(4860メートル)とChingiz Aitmatovピーク(4650メートル)へ登頂することができます。 2014/4/30 |
ナン キルギスのパンをキルギス語で「ナン」と言います。ナンにはいくつかの種類があります。イースト生地から丸い形で作るパンをKyomoch、Tokochとも言います。油を少量入れて作ったものを、Mai tokochと言います(「油」をキルギス語で「Mai」といいます)。ナンはタンドール(Tandyr)という「竈(かまど)」で作られます。タンドールとは粘土製の円筒形のオーブンです。タンドールでは同時にたくさんのナンが作られます。タンドールの中の温度はとても高いので、ナンを作る人は生地を素早くタンドールの中に張り付けて、ナンが出来上がると素早く取り出します。これは慣れている職人にしかできません。 ナンの生地を作るためには、小麦粉、水、酵母、塩を使います。牛乳、マーガリン、砂糖、ゴマを入れるときもあります。 ナンは料理と一緒に食べてもいいし、バター、ジャム、蜂蜜をつけて食べてもいいです。 ナンの竈(かまど)にはもう1つKyomochというものがあります。それは2つのフライパンの1つにナンの生地を入れ、もう1つのフライパンを蓋として使い、たき火の残り火の上で作られます。しかし、このナンの作り方は昔のキルギス人によって使われていたもので、現代ではほとんど利用されていません。 ナンはナイフではなくて、手で千切って食べなくてはなりません。また、ナンを"逆さま"の形でテーブルの上に置いてはいけません。 ナンにはもう1つカッタマ(Kattama)という種類があります。イーストではない生地を薄くして丸め、油をつけて、螺旋状にカールし、生地を何層にもした後で、熱い鉄のストーブか、少し油を入れたフライパンで焼きます。 ナンはキルギス人の伝統的な食事の席「ダストラカン(dastarkhan)」の上に必ずある食べ物です。 2014/8/1 |
バニャ バニャ(バーニャ)とはロシアのスチームバスのことを言います。旧ソ連の国々ではバニャが広く使われていました。今でもキルギスにはバニャが数多くあります。バニャは人の身体を清潔にするための良い方法です。熱い蒸気は、肌の古い細胞を修復し汗と皮脂腺の分泌を刺激して体内の老廃物を排出させると言われています。またバニャで血行が促進されることによって、細胞内の代謝が高まったり、活性酸素の除去が進みアンチエイジングに効果があるとも言われています。 バニャは人の心理状態に対しても、良い影響を与えます。スチームバスの熱さが筋肉の緊張をほぐし、疲労を回復させ、自律神経のバランスを整えると言われています。 バニャに入るときには決まりがあります。まず、バニャにはいきなり入ってはいけません。普通はバニャに入る前に、軽くシャワーを浴びます。しかし、シャワーで頭を洗わないほうがいいです。頭が濡れているとバニャの蒸気の熱が伝わりやすくなって頭を加熱し過ぎてしまうからです。バニャのスチームルームに入る前には、発汗がすぐに始まるように体についた水分をタオルで拭き取り、頭を過熱しすぎないようにウールの帽子があればそれをかぶります。スチームルームに入る時間は1回につき10分以内がいいと言われています。時間が経ってスチームルームを出たら水で体を洗い流し、少し休みます。バニャに慣れている人はこれを2,3回繰り返します。 それから、食事の直後とアルコールを飲んだ時には、心臓に悪い影響を与えるので、バニャに入ってはいけません。 キルギスでは生の蜂蜜が手に入りやすいため、バニャで蜂蜜を体と顔に塗ってパックとして使う美容方法がお勧めです。生の蜂蜜にはミネラルやビタミン、アミノ酸等の肌に良い影響を与える成分が含まれている上に、保湿性に優れておりスキンケアのために大変良いと言われています。 2014/8/15 |
ボルソック キルギス料理の中には、小麦粉から作るパンの種類がいくつかあります。その中で一番人気のあるのがボルソック(ボールソク)です。ボルソックとは小麦粉で作った生地を切って揚げたものです。ボルソックはどんなキルギス料理とも味が合います。 ボルソックはいつも大量に作られて、キルギス人の祭りやお祝い事、親戚や友達の集まりの時に必ず出されます。 ボルソックの材料は小麦粉、酵母、水、塩、マーガリン、卵、牛乳です。甘く作りたい場合は砂糖を入れます。これらの材料から生地を作って、5mmぐらいの厚さで転がしてから、四角形かひし形の形に切って、油で揚げます。 昔の遊牧民はボルソックを羊肉の脂肪で揚げていたと言われます。羊の油で揚げたボルソックの外側は油で覆われ、中身は柔らかい状態が長く続いたと言われています。 キルギスでは2013年に「ボルソック祭り」が行われました。そこでは色々な種類のボルソックが作られました。たとえば蜂蜜、カボチャ、ビート、チーズ等を入れて作られた種類等がありました。ボルソック祭りではボルソック料理人のコンテストもありました。 2014/8/29 |
プロフ プロフ(ピラフ)は中央アジアの有名な料理で、キルギスでもよく食べられています。プロフの主な材料は肉(羊肉または牛肉)、米、ニンジン、タマネギ、油です。油は植物の油の他に動物の脂肪を使う場合もあります。プロフは使う肉や作り方・調味料の違いによって様々な種類があります。 ウズベキスタンではプロフは男が作る料理とされており、それぞれの家庭の味があります。かつてはプロフは裕福な家族で食べることのできる料理で、一般の家庭ではなかなか食べれない料理でした。 ウズベキスタンではプロフを"Palov osh"と言います。ウズベク人の言い伝えでは、プロフという料理の名前は、この料理に使われる材料の頭文字から作られた名前だと言われています。Piyoz(タマネギ)、Ayoz(ニンジン)、Lahm(肉)、Olio(油)、Vet(塩)、Ob(水)、SHaly(米) - この文字でPalov oshという料理の名前になります。 プロフを作るときに大事なことはそれぞれの材料のバランスです。たとえば水が多すぎたりニンジンが少なすぎると、水分を多く含んでしまって米がバラバラになりません。 2014/10/31 |